【読書メモ】東浩紀「弱いつながり」を読んだ
ゲンロンカフェという、思想家の東浩紀(あずま ひろき)さんが開催しているイベントに参加し、 東さんの考えに興味を持ったので弱いつながりという本を買って読んでみた。
話の内容は、今のIT社会で世界のあらゆる情報にアクセスすることができるようになった。しかし、その情報にたどり着く機会があるのか? という考えで、google等の検索エンジンは私達が調べる言葉を分析して、一番求めているもの(考えが近いもの)を表示してくれるようになり。 amazonでも個人に合った商品を提示してくれる。最近のGunosy等のニュースサービスでも個人に適したニュースを配信してくれる。
そうなると私達は自分の満足できる(ハズレの無い)情報を得ることができるようになっている。 しかし、それは強いつながりになってしまって、所属するコミュニティを限定させてしまい、 新しい考えや体験を離れさせてしまっている可能性がある。 それよりも、**もっとノイズにまみれたもの(弱いつながり)**が人生を豊かにしてくれる。 東さんは海外へ旅(観光)をしに行くことで、(日本でいたら)普段検索しない、新しい考え方に出会えると言っている(詳しくは本で)。
この、ノイズを混ぜていくということを、東さんは色々な分野でチャレンジしている。 アカデミックな分野でも「文系」「理系」で分けてしまうことがナンセンスで、あえて中間の領域を作ってあげることで、 一般の人も「科学」について知ってくれるという考え方だ。 私も科学を広めるという活動に興味があって調べたりもしたが、 どれも **「理系は面白いよ」「理系はこんなことが分かるよ」みたいに無理やり引っ張っていき「理系」という枠に囲い込みをしてやろうというイメージが個人的にする。**そうなると、結局科学を「分かる人」と「分からない人」の二極化しか生まれず。広く科学を知ってもらうには全員に「理系」になってもらうしかない。政治にだって同じことが言えて、政治に関心がおこらないのも「わからないから」という理由で終わってしまうことがあり、「政治について考える人」「政治について何も考えない人」の二極化してしまう。どこにもノイズというものは残しておく必要がある。
ノイズを含ませることで普段の自分では考えないことを考えさせてくれる。 今のITサービスでオススメは表示してくれるけど、自分にマッチしない情報は全く教えてくれなくなっている 。 IT分野で働いている私としては、あえてノイズを作ってくれる何かを作ってみるのも面白いかもしれない。