「ゼロ・トゥ・ワン」ペイパル創業者が語る起業論
ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか を読んだ。今回は感想より本の紹介に近い。
この本はペイパルの創業者であるピーター・ティールの本で、彼の母校であるスタンフォード大学での起業講義を元にして書かれている。 講義が元になっているので1つ1つの章が明確なテーマになっていて理解しやすい。
彼のリーンスタートアップに対する否定的な考え方や、 「社会を変えていけるようなスタートアップを成功させるにはどうすればいいか?」に対する解決方法ではなく、成功させるための考え方 が書かれている。
1. 隠された真実に対する現代社会の捉え方
彼は、採用面接で同じような質問をするらしい、それは
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
この質問の意図は未来というものは確実に今とは何かが異なる世界であり、それに対して何か信念を持っているかという事を確かめたいらしい。 人類が他の動物と異なり現在のような社会を築けたのは、そのような真実に気付く事(テクノロジーの進歩)があったからだと言っている。
- 「10年後なんて何が起きるか誰も分からない、だけど確実に今より私達の技術は進歩して、より良い社会になっているだろう」
- 「ほとんどの問題はすでに解かれてしまっていて、自分の分かることは子供にも分かるし、自分の分からないことはいくら努力しても理解できないもの。知られざる真実なんて残っていない」
と考えてしまうような社会(現在のアメリカがそうであるらしい)になってしまうと、
「どうせ待っていれば世界は良くなる。なら成功するか分からない事に投資するのではなく、幅広く分散して投資をしておけば失敗することはない」
という考えにいたり金融業が盛んになり、隠された真実について考える人が少なくなってしまった。
2. 未来に対しての信念を持つ
しかし、自分の中で信念を持っている人、さらにそれに賛同する集団ならば
「未来(10年後、20年後)は、こんな世界になるはずだから、今ならこの行動をすべきだ」
という明確な未来を見ていてそのために、同業他社が追いつけないぐらいの技術的なアドバンテージをもっており、より小さい所から独占していき徐々に最終的な未来にもっていけるように事業を進めていく。
本の中ではamazonの話が出てきて、amazonは「地球上で最も豊富な品揃え」をビジョンに持っているが、それを達成するために、 最初から色々な物を扱うのではなく、最初は本から始めていき、本と比較的近いCD・DVD等に広げて徐々に最終的な目標を達成しようとしてきている。
そのような、隠れた真実に気付くにはどうしたらいいか。最終的な目的を達成するため、スタートアップを成功させるには何をしていくと良いのか、 それについての考え方をこの本では提案してくれる。
3. 感想
ここからは感想だが、私自身も「未来はどうなるか分からないが確実に良くなるだろう」という楽観的 (この本ではそういう考えを「曖昧な楽観主義」と呼んでいる)な考えをしてしまっている。 「確実に良くなっていく科学に対して何か貢献していきたい」と、これまた曖昧な考えしか無く、 自分の信じる未来というものを考えてこなかった。的確に自分の未来に対する考え方を突かれて感銘を受けた本だった。
この本を読んで自分の目指してたい未来というものについて考えさせられた。実際にこの本を読んでから、 色々と作ってみたいor試してみたいことが浮かんできた。